『ミステリウム』
■エリック・マコーマック『ミステリウム』読了(1日)。
- 作者: エリック・マコーマック,増田まもる
- 出版社/メーカー: 国書刊行会
- 発売日: 2011/01/25
- メディア: 単行本
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見習い新聞記者の「私」は行政官からある炭鉱町で起こった(進行中でもある)事件の調査を頼まれる。行政官から送られてきたその町の薬剤師が書いた手記によると、その町に「水文学者」の「植民地人」が来てからというもの記念碑が破壊され、挙句の果てには殺人事件が起こり、今現在町の人々は喋り捲る奇病に侵され次々と死んでいるという。「私」は調査のため町に向かう。
みたいな話で、あらすじだけでもおもしろそうだけど実際読むともっとすごい。「私」は調査に向かい、町の人々に話を聞くが、彼らは謎の奇病に侵されているため、その証言が信用できるとは限らない。それでもなんとなく「真実」と思われるものの輪郭が掴めそうになると、新たな謎の出現でまた曖昧としていき、またなんとなく輪郭が掴めそうになると、また曖昧に……と読んでいる間中、足元がぐらぐらしっ放し。最初は手のひらで掴めそうな謎が、ページをめくるごとにどんどん膨らんでいってしかもとらえどころのない何かに変わっていく、という感覚はたまらないものがある。
ちなみにバカ正直に本のにおいが嗅いだら、本のにおいしかしなかったので……。
■今は、奥泉光『鳥類学者のファンタジア』を再読中。10年ぶり(単行本の刊行が2001年4月だったらしい…)。1センテンスが長くて全体がうねっているみたい。読んでいて楽しい。