『ハーモニー』

伊藤計劃『ハーモニー』読了(12日)。

ハーモニー (ハヤカワ文庫JA)

ハーモニー (ハヤカワ文庫JA)

確か今年の2月くらいに『虐殺器官』を読んで大興奮しながらとあるバーで「すごいすごい!」と騒いだんじゃなかったっけ。それから『ハーモニー』という長編が出ていることは知っていたけれど、これを読んだらもう読むものはない……文庫化まで待とう、と思っていたらもう出ちゃった。で、読んじゃった。
(途中『メタルギア ソリッド ガンズ オブ パトリオット』は借りて読んだ)

いやー、おもしろかった。まず「誰も病気で死なない世界」っていう枠組みそのものに圧倒された。優しさと倫理が支配するパステルカラーに溢れた世界ってかなり気色悪い。あとは、「プライバシー」という言葉がとんでもなく卑猥な言葉になっているとか、客に出すのは「水」とか、そういう隅っこの設定が素晴らしい。『虐殺器官』と同じく最後の章で「おおお」という声が出た。やっぱり「すごいすごい!」だ。

それなのにこの人の長編はもう読めないのか、とやっぱり思う。

■今読んでいるのは夢枕獏『沙門空海唐の国にて鬼と宴す』。「ほとんど晴明博雅だよ」と言われたけど、本当にそうだ。でも好き。