『桑潟幸一准教授のスタイリッシュな生活』他

奥泉光桑潟幸一准教授のスタイリッシュな生活』読了(6日)。

桑潟幸一准教授のスタイリッシュな生活

桑潟幸一准教授のスタイリッシュな生活

おもしろかった!だいすきだ。クワコーの「下流の宴」っぷりが愛おしく感じるよ。延々と垂れ流される自虐思考。突然現われた文芸部の学生に「クワコー」呼ばわりされるクワコー。給与明細の数字に愕然とするクワコー。なんだか嬉しそうに節約レシピを考えているクワコー。

あとは『モーダルな事象』に出てきた太宰治の駄洒落との再会……。この本を読むまですっかり忘れていたのに。どうしてくれよう。
ミステリとしてどうなのかはわからないけれど、探偵役のホームレス女子大生の考え方は好きだな、と思った。

ラブリーな表紙に騙されてみんな買えばいいよ!そしてめざせ本屋大賞!!

パオロ・バチガルピ『ねじまき少女』読了(14日)。

ねじまき少女 上 (ハヤカワ文庫SF)

ねじまき少女 上 (ハヤカワ文庫SF)

ねじまき少女 下 (ハヤカワ文庫SF)

ねじまき少女 下 (ハヤカワ文庫SF)

いやー、これもおもしろかった。石油が枯渇した後の世界。エネルギーは象を遺伝子操作して生み出したメゴドントという生き物によって巻かれる「ゼンマイ」でまかなわれている。この世界そのものも魅力的で(こういう言い方はおかしいかもしれない。この世界には住みたくないからな)、舞台となる未来のバンコクの空気まで伝わるような、緻密でテンポのいい文章、キャラクター、ストーリー、とどこを取ってもすばらしい。

衝撃的とか「人生変わっちゃいました」とかそういう作品ではなく、ただただ「おもしろい小説」だと思った。あーこういう小説好きだなー、と。

■今読んでいるのはイザベル・アジェンデ『精霊たちの家』。もう最初からおもしろくて夢中で(でももったいないから大切に)読んでいる。