『卵をめぐる祖父の戦争』

デイヴィッド・ベニオフ『卵をめぐる祖父の戦争』読了。

卵をめぐる祖父の戦争 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ 1838)

卵をめぐる祖父の戦争 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ 1838)

おもしろかったー。レニングラード包囲戦の中、レフとコーリャは大佐から卵1ダースの調達を命じられる。しかし飢餓に苦しむレニングラードで卵なんてどこにもありそうにない。さて…、というお話。

爆撃、人肉食い、地雷犬、パルチザン……描かれる戦争は悲惨そのもの。しかし、飢餓の中「卵を調達する」というアホのような(でも命がけ、なところがまたウマい!と思う)任務につく若い(ひとりは童貞だ)二人の道中の掛け合いはセックス、文学、恋愛、排便なんてテーマが軽妙に展開されていって思わずくすくす笑わされてしまった(時に排便問題)。悲惨とくすくす笑いがなぜか同居していて、「弥次喜多戦争小説」という感じ。それとも「聖彼得堡道中膝栗毛」?

今は桜庭一樹赤朽葉家の伝説』を読んでいる。「よぅく」って書き方がちょっと……。それにしても日本の小説を読むのは久しぶりだ。おもしろいといいな。