『無垢の博物館』『西南シルクロードは密林に消える』
■オルハン・パムク『無垢の博物館』上下読了(7日)。
- 作者: オルハン・パムク,宮下遼
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2010/12/23
- メディア: 単行本
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- 作者: オルハン・パムク,宮下遼
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2010/12/23
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おもしろかった。
主人公のケマル(30歳)は裕福で可愛い婚約者もいて(婚前交渉までしている)彼の人生は順風満帆。しかし遠縁の娘フュスン(18歳)との情事に溺れていき、やがて彼はフュスンにまつわる物を蒐集し始める……。
というようなことを、ケマルがほぼ全編にわたって一人称でネチネチと語っていくので「ダメじゃん」「変態がいる!」「お前は何をしているんだ」などと心の中でツッコミながら読んだ。
しかし、このネチネチとした語りが深化していく感じとか「さすがパムク!」な構成がすばらしい。一番大きい「さすが!」は、最初からずっとケマル視点で物語を読んでいたのが、最後の章で突如として(いや、何度かその存在は感じていたものの、というかこういう匂わせ方も巧いんだよ!)「ある人」の語りになることによって、今での物語を違う角度から見せてしまうところ。本当にやられたー。もう1回読もう。
「男と女が隣り合わせにも座れない、待ち合わせしておしゃべりもできない国で、愛なんてちゃんちゃらおかしな話よ」
あ、上に引用したのはこの本の中で一番印象に残っている言葉。今作もヨーロッパの影は大きい。
■高野秀行『西南シルクロードは密林に消える』読了(11日)。
- 作者: 高野秀行
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2009/11/13
- メディア: 文庫
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傑作だ。いやもう本当に。しかしなんで中国公安に取調べされた話を読んでこんなに笑えるんだろう。あとはナイスキャラが多すぎて困る。中でも「エピキュリ大尉」が好きだ。最後の最後までこの人に驚かされるとは。
■今読んでいるのはマーガレット・アトウッド『オリクスとクレイク』。これも絶対おもしろい。