『死のオブジェ』他

■キャロル・オコンネル『死のオブジェ』読了(5月23日)。

死のオブジェ (創元推理文庫)

死のオブジェ (創元推理文庫)

チャールズ!

いまや彼はすっかり目覚めていた。こういうとき度胸をつけるためにとライカーが教えてくれた、わずかばかりの悪態で武装して、彼は窓辺に飛んでいき、勢いよくサッシを押し上げた。まずは敵の出自に関する毒舌からだ。彼は窓から身を乗り出した。

ここが一番好き。チャールズがどんな人間かこの短い文章でしっかりわかるじゃないか。だからオコンネル好きなんだ。話は「続!」って感じで幕引き(殺人事件自体は解決するけど)。これを読んだ人は必ず『天使の帰郷』を読もうぜ!

■キャロル・オコンネル『天使の帰郷』読了(5月29日)。

天使の帰郷 (創元推理文庫)

天使の帰郷 (創元推理文庫)

本当は『チャンピオンたちの朝食』を先に読み終わっているんだけれどもこっちから。
大傑作。マロリーの出自が明らかになり、彼女の本当の母親はどうなったの?という前3作からずっと引っ張られてきた謎がついに解決。なんといっても最後。シリーズを順番に読み続けてきた人ほど胸がえぐられる。どんな気持ちでマロリーはああいう風に言っていたのか。

カート・ヴォネガット・ジュニア『チャンピオンたちの朝食』読了(5月25日)。

とにかく、わたしはこの戦争小説を書き上げた。つぎは楽しい小説を書こう。 「スローターハウス5

「つぎ」の「楽しい小説」というのがコレらしいが、おもしろい小説だったけど、決して「楽しい小説」ではなかったぞ……。くすっと笑ってしまうところもかなりあったが、「楽しい小説」ではなかったぞ……。

リチャード・ブローティガン『愛のゆくえ』読了(5月30日)。

愛のゆくえ (ハヤカワepi文庫)

愛のゆくえ (ハヤカワepi文庫)

うーーん。ちょっと……。イライラしてしまった。図書館員の彼のことよりも、窓のないホテルの部屋でロウソクの光だけで花を育てる老婦人の話が読みたい、と思ってしまう。うーーん。ブローティガンは初めて読んだのでちょっと他のも読んでみよう。

佐藤亜紀『モンティニーの狼男爵』読了(6月1日)。

モンティニーの狼男爵 (光文社文庫)

モンティニーの狼男爵 (光文社文庫)

キュート。最後にドニーズが寝台をぽんぽんと叩いて男爵を呼ぶ、そのしぐさの優しといったら。なんて幸せな小説なんだろう。あと、間男を生きたまま塗りこめる(バルザック?)とか、百科全書読破するとかフフフな小ネタも散りばめてあるので、ますますおもしろかったですのよ。

内澤旬子『世界屠畜紀行』読了(6月4日)。

世界屠畜紀行 THE WORLD’S SLAUGHTERHOUSE TOUR (角川文庫)

世界屠畜紀行 THE WORLD’S SLAUGHTERHOUSE TOUR (角川文庫)

読んでいてもちろんいろいろ考えさせられることは、もちろんあるのだけれど、この本の一番の美点は「ただただおもしろい」ところにあるんじゃないか。
肉を食べるなら知っているべきこと、っていう気持ちで読むのではなくておもしろいから読んだ。だって知らないことを知るのはおもしろいでしょう?ワクワクするでしょう?

読み終わって最初に思ったことは「肉が食べたい」だった。仔羊のローストとかねー。あー。(ダイエット中なのでちょっとツライ)